介護者における健康管理の重要性

患者だけでなく家族の健康を保つために

呼吸管理や心筋障害治療の進歩により、患者の寿命は延長しています。一方で、介護する方の高齢化・長期化による介護負担が課題となってきました。患者の活動範囲や生活レベルを維持していくためには、介護者の身体的・精神的健康を保つことが重要です。

ジストロフィノパチー患者の母親も骨格筋障害・心筋障害があり得る

ジストロフィノパチー(デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー)の患者を介護している女性の家族の中には、ジストロフィンの変異を保有されている方が一定の割合でいることがわかっています。
こうした方々は、加齢とともに骨格筋障害や心筋障害を起こす可能性があります(文献1)。

(文献1, 足立ら:医療67:63-69, 2013)

ジストロフィノパチー患者の介護者向け健康管理調査票・問診票

ジストロフィノパチー介護者の健康管理に関する報告は、海外では急増している一方、本邦での報告は乏しく、研究班によるアンケート調査では、ジストロフィノパチー患者の家族、医療スタッフとも介護者の健康管理に関する情報が不足していることがわかりました。

私達は過去の報告や「デュシェンヌ型筋ジストロフィーガイドライン2014」を参考に、介護者のメンタルヘルスケア、身体状況の把握、特にジストロフィノパチー変異保有者の心筋障害を見逃さないため、問診票・健康管理調査票を作成しました。身体・精神的サポート、社会支援の利用などにお役立ていただければと思います。

なお、ジストロフィン変異保有者の確定診断においては、遺伝カウンセリング医や専門医の連携をご配慮いただくようにお願いいたします。

デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー介護者健康管理のための問診票

デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー介護者の健康管理調査票